2008年5月22日

ジョーダンの引退とその後のNBA

ジョーダンが帰って来たシカゴ・ブルズは元から居たスコッティー・ピッペンに加え、デニス・ロッドマンやロン・ハーパーら新しいメンバーと共に96〜98年に二度目のスリーピート(三連覇)を達成します。

最後の年となった98年ユタ・ジャズとのNBAファイナルは特に印象深いものがあります。3勝2敗で迎えたソルトレークでのゲーム6。ここで勝てばスリーピート達成となるゲームはジャズのホームコート、一番声援が大きいと言はれるデルタ・センターで行はれました。
残り1分を切って86-83でジャズが3点リードしていますが、ジョーダンがレイアップ・シュートを決め96-95の1点差に詰めます。
次のジャズの攻撃で、ローポストに位置するカール・マローンへジョン・ストックトンがパスを入れます。するとブラインド・サイド(見えない方向)からジョーダンが来て、外に気を取られていたマローンのボールを斜め後ろから叩き落として奪います。それが残り20秒のこと。

ジョーダンはゆっくりとドリブルでボールを進め、左45度当たりで最後の攻撃の機会を窺います。他のメンバーはジョーダンの1on1を邪魔しないようにベースラインに寄ってアイソレーション(プレーの邪魔をしないようにする)します。
残り8秒になったとき、ジョーダンは行動開始。
ドリブルで攻め込み、フリースローラインあたりで急ストップしてジャンプシュート。自分のシュートが正しい方向へ向かって行くのを確信して、ジョーダンは右手を打った状態で、高くかざしたままです。自信があったのでしょう。
場内を埋めるジャズ・ファンは恐怖に顔がゆがみます。世界で一番勝負強い男のシュートだから「外れるわけが無い」と判っているからです。そのジャズ・ファンの悪い予感は現実のものとなります。
ボールはリングにカスリともさせず、綺麗に吸い込まれました。





2度のスリーピートを達成したブルズ、そして2度目の引退となったジョーダンにとってこれが「ラストショット」となりました。

ブルズに代わって台頭したのが地味の代表といわれるティム・ダンカンと提督デビッド・ロビンソンのツインタワーを要するサンアントニオ・スパーズです。
派手さはありませんが、ゴール下とディフェンスの強さで常勝軍団となります。腎臓移植手術から戻ってきたシーン・エリオットも活躍して話題になりました。
とは言え、スパーズに独走を許すほどNBAは甘くありません。待ったを掛けたのはウエストの名門ロサンゼルス・レイカーズです。

若いカリスマ、コービー・ブライアントと支配力はNBA随一といわれる巨漢シャックことシャキール・オニールとのガードとセンターのコンビで2000年から02年までスリーピートを達成しました。コーチはブルズでジョーダンを使いこなしたフィル・ジャクソンです。

しかしスリーピート後はシャックとコービーが仲たがいし、シャックが移籍したため、レイカーズの進撃はここでストップどころか奈落のそこへ落ちてしまいます。

スパーズのリベンジです。アルゼンチンのスターガード、マニュ・ジノビリの加入が大きく、スティーブン・ジャクソンと共に外からの攻撃に厚みを加え、2年目のトニー・パーカーもポイントガードとして定着しました。
インサイドには相変わらずツインタワーが陣取っていますが、ロビンソン最後のシーズンとなることも手伝ってか、大きな盛り上がりを見せます。
一方ジェーソン・キッドが加入して急激に強くなったネッツは二年連続のファイナル進出でしたが、シーズンは平均96得点の攻撃力を抑えられ、最高で89得点しか挙げることができませんでした。
最後はスパーズがディフェンスの強さを示して03年のチャンピオンに返り咲きました。

次に現れたのはレイカーズとは対照的なディフェンスの強さを誇るポンコツオヤジ軍団です。ビッグネームと呼ばれるスーパースターはおらず、他のチームでお払い箱になった選手を集めたと言われたデトロイトピストンズです。せいぜいラシード・ウォーレスくらいですかね、若くて名門出身で能力の高さを誇れるのは(笑)

しかし優勝請負人と言はれるラリー・ブラウンをヘッド・コーチの元で数年がかりで鍛え上げられ、強いディフェンスで04年に優勝を果たします。

翌年もピストンズがNBAファイナルに進出してきましたが、肝心のブラウン・コーチが居ません。優勝したことでピストンズでの自分の役目は終わったとばかり、辞めてしまいました。天才が考えることは判りません(笑)

05年はパーカーが活躍するようになり、ロビンソンが引退したスパーズのPGとして異彩を放ちます。ディフェンス力の弱くなったピストンズを破り、3回目の優勝を果たします。

西高東低と言はれる中で、イースタン・カンフェレンスでメキメキと力をつけてきたチームがマイアミ・ヒートです。ドリブルで中に割って入るのが上手い大型ガードのドウェイン・ウェードに巨漢シャックが加わったばかりではなく、優勝経験がないベテランやビッグネームも安いサラリーで加わり、06年を制覇します。

00-02年のレイカーズ以来連覇がない、いや出来ないのがNBAです。そんな中でフランス人PGトニー・パーカー、アルゼンチンGのジノビリ、バージン諸島出身ダンカンら国際色あふれるBIG3の活躍で、若手ナンバーワン、もうすぐNBAナンバーワンになろうといわれるレブロン・ジェームス率いるクリーブランド・キャバリアーズを破って07年優勝を果たしたのがスパーズです。

連覇こそしてないものの、03年から5年間で3回優勝したのがスパーズは、Dynasty(王朝・帝国)と呼ばれるほどになりました。グレッグ・ポポビッチの手腕によるところが大きいですね。

そして今シーズン、誰も予想しなかったニューオーリンズ・ホーネッツが大躍進です。レイカーズもシーズン途中のトレードでパウ・ガソルを獲得してから一気に優勝を狙うチームへと変身しました.

しかし今シーズン最も優勝に近いのはボストン・セルティックスでしょう。ビッグ・フォワードのケビン・ガーネットをトレードで、シューターのレイ・アレンをFAで獲得して、フランチャイズ・スターのポール・ピアースと共にBIG3を形成して、リーグ最高の66勝をあげました。
逆にトレードやFAで補強したものの、思ったほど効果が上がらなかったのは、シャックを補強したフェニックス・サンズ、ジェーソン・キッドをトレードで得たダラス・マーベリックスじゃないでしょうか.

さあ、もうすぐNBAファイナルです、どのチームがチャンピオン・リングをはめることが出来るのでしょうか?

この数年、若いスターが次々に誕生しています。ジョーダン引退から10年。NBA人気は元に戻ってきたといっていいでしょう。



historivia at 18:51│Comments(0)TrackBack(0) 

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プロフィール
あんどうたかお
日本初のバスケットボール専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、 バスケットボール用品専門メーカー「サカイ」のデザイナーとして活躍。ユニフォームデザイナーとして 高校からスーパーリーグまで、ほとんどのデザインを手掛けた。 NBAの伝道者として知られ、NBAの黎明期から執筆活動を行い、NHK BSでも放映初期から解説者として 活躍するなどその造詣は深い。現在はデザイナー業、執筆活動のかたわらNBAでプレーすることを 夢見る若者を支援するNPO「リーチ ユア ドリーム オブ フープ」を主宰している。
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