2008年3月11日
NBA黄金期到来−ブルズの時代へ
どんな競技やイベントにも、日の当たらない時期と言ふのはあるのもので、NBAでは89-90シーズンは記憶に残っていない、と言ふ人が多いのじゃないでしょうか(笑)
89-90
ミネソタ・ティンバーウルブズとポートランド・トレイルブレイザーズがエクスパンション・チームとして新たに加わりました。現キングスのコーチ、レジー・テスがブレイザーズのメンバーに入っています。
このシーズンは84年ドラフト組が台頭してきたシーズンでもあります。
得点王にマイケル・ジョーダン(26歳)、リバウンド王をロケッツのアキーム・オラジュワン(26歳)、アシスト王はジャズのジョン・ストックトン(27歳)が獲得しています。また85年組のニックス、パトリック・ユーイング(27歳)、ジャズのカール・マローン(26歳)の活躍が見られました。
また、この年にはスパーズに待望のスーパーセンターのデビッド・ロビンソン(215cm)が入団しました。彼は87年のドラフト1位ですが、入団は2年後の89年です。
なぜなら、彼は海軍士官学校に在籍していたために、卒業後は2年間の兵役の義務があったからです。スパーズはそれを承知の上で学生#1選手をドラ1で指名したのです。2年間待った甲斐がありました(笑)
前シーズンは21勝61敗と言ふ悲惨な成績が、彼のお陰で56勝26敗という成績を残し、ミッドウエスト・ディビジョンのトップへと大飛躍しました。
ディフェンディング・チャンピオンのピストンズはレギュラーシーズンに59勝を挙げて余裕を見せますが、プレーオフのイースタン・カンフェレンス・ファイナルでは肝を冷やします。ジョーダンのブルズに3勝3敗と粘られました。ブルズは元ニックス選手のフィル・ジャクソンがコーチとなって、禅の思想や、選手が公平にボールを触れる機会を与えるトライアングル・オフェンスと言ふシステムを取り入れ、前シーズンより8勝も多くなり、若手中心ながら、確実に伸びてきていました。
一方レイカーズは、スーパーセンターのカリーム・アブドゥル・ジャバーを引退で失ったものの、前年までの財産のお陰で勝数を伸ばしましたが、PGケビン・ジョンソン(先週、サクラメントの市長選に出馬するとか噂が流れていましたね)、Fのトム・チェンバレンバース、ジョン・ホーナセックのサンズに足元をすくわれてしまいます。
そのサンズも、ロビンソンを始め10人もメンバーを入れ替え、新チームに生まれ変わったスパーズを下してきたトレイルブレイザーズとウエスタンのファイナルで対戦して敗れました。
NBAファイナルはオールラウンダーのクライド・ドレクスラーを中心に、シューターのテリー・ポーターや力強いベテランのバック・ウイリアムス、インサイドにケビン・ダックワースと良いメンバーをそろえたトレイルブレイザーズでしたが、数年先を見越したチーム作りの途中だったため、経験豊富なピストンズが4勝1敗で連覇を果たします。
<89-90 レギュラーシーズン順位>
イースタン・カンフェレンス
◇アトランティック・ディビジョン
1.フィラデルフィア・76ers 53勝29敗
2.ボストン・セルティックス 52勝30敗
3.ニューヨーク・ニックス 45勝37敗
4.ワシントン・ブレッツ 31勝51敗
5.マイアミ・ヒート 18勝64敗
6.ニュージャージー・ネッツ 17勝65敗
◇セントラル・ディビジョン
1.デトロイト・ピストンズ 59勝23敗
2.シカゴ・ブルズ 55勝27敗
3.ミルウォーキー・バックス 44勝38敗
4.クリーブランド・キャバリアーズ 42勝42敗
5.インディアナ・ペーサーズ 42勝42敗
6.アトランタ・ホークス 41勝41敗
7.オーランド・マジック* 8勝64敗
ウエスタン・カンフェレンス
◇ミッドウエスト・ディビジョン
1.サンアントニオ・スパーズ 56勝26敗
2.ユタ・ジャズ 55勝27敗
3.ダラス・マーベリックス 47勝35敗
4.デンバー・ナゲッツ 43勝39敗
5.ヒューストン・ロケッツ 41勝41敗
6.ミネソタ・ティンバーウルブズ 22勝60敗
7.シャーロット・ホーネッツ* 19勝63敗
◇パシフィック・ディビジョン
1.ロサンゼルス・レイカーズ 63勝19敗
2.ポートランド・トレイルブレイザーズ59勝23敗
3.フェニックス・サンズ 54勝28敗
4.シアトル・スーパーソニックス 41勝41敗
5.ゴールデンステート・ウォリアーズ 37勝45敗
6.ロサンゼルス・クリッパーズ 30勝52敗
7.サクラメント・キングス 23勝59敗
*エクスパンション・チームは組織の関係で、数年は本来のディビジョンでは無い所へ加盟することがあります。
90-91
盛り上がらなかった前シーズンのファイナルはさておいて、NBAを知らない人でもその名だけは知っているであろう世界のスーパースター、マイケル・ジョーダンが日の目を浴びたシーズンです。
このシーズン、世間ではジョーダンは「ウィルト・チェンバレンになるのか、ビル・ラッセルになるのか?」と言はれていました。
生涯の平均得点はチェンバレンの30.1点に対し、ラッセルは半分の15.1点ですが、ラッセルはMVPに5度輝き、「ディフェンスの神様」とも呼ばれています。
一方、チェンバレンは1ゲーム100得点と言ふ記録を持ち、得点に関しては腐るほどの記録や賞を持っていますが、チャンピオンリングは、ラッセルが11個持っているのに対し、たったの2個しか持っていません。
チェンバレンを引き合いに出して、4年連続で得点王に輝きながら優勝していないジョーダンを暗に批判していたのでしょう。ジョーダンは優勝より個人成績を優先しているとか、ジョーダンにはチームを優勝へ導く力はない、とか。
しかし優勝を一番望んでいたのは他ならぬジョーダン自身でした。優勝するためなら得点王は不要で、チームメイトの力が必要だとわかり、このシーズンから積極的にパスを廻しはじめます。
ジョーダンの当面の敵は前シーズンもカンフェレンス・ファイナルで3勝3敗と後一歩の所まで追い詰めながら敗れてしまったピストンズです。
フィジカルなディフェンスで、怖がらせたり感情的にさせたりするベテランの術中に嵌って敗れた反省を活かし、レギュラー・シーズンで貴重な勝利を挙げました。
シーズン中にプレーオフで対戦が確実視されているチームとの対戦では、手の内を見せないためとか、相手の戦力を確かめるためとして全力を出さないチームもありますが、ジョーダンは違います。正面からぶち当たり、全力で戦います。
今まで負け続けてきた強敵ピストンズに対して95-93で勝ったのです。また、このゲームは単に勝利したことだけが収穫ではありませんでした。一番の収穫は相棒スコッティー・ピッペンがジョーダンの30得点に続く20得点を挙げたことです。
これで若いブルズは自信をつけました。もうジョーダンのワンマン・チームではないのです。
そしてプレーオフではカンフェレンス・ファイナルでピストンズと顔を合わせます。
相手のフィジカルなディフェンスに対抗してピッペンが一発ぶちかますと、逆にピストンズが驚きました、去年とは違うぞ、と。
結局このシリーズはスイープ(4戦全勝)でした。ゲーム4では、最終Qにはピストンズ主力がベンチを離れロッカーへ戻ってしまう有様です。惨めな姿を地元デトロイト・ファンに見せなかったのは強者のプライドがそうさせたのでしょう。それだけ完敗した、と言ふことです。
いよいよブルズ、念願のNBAファイナルです。それは次回へ…
<90-91レギュラーシーズン順位>
イースタン・カンフェレンス
◇アトランティック・ディビジョン
1.ボストン・セルティックス 56勝26敗
2.フィラデルフィア・76ers 44勝38敗
3.ニューヨーク・ニックス 39勝43敗
4.ワシントン・ブレッツ 30勝52敗
5.ニュージャージー・ネッツ 26勝56敗
6.マイアミ・ヒート 24勝58敗
◇セントラル・ディビジョン
1.シカゴ・ブルズ 61勝21敗
2.デトロイト・ピストンズ 50勝32敗
3.ミルウォーキー・バックス 48勝34敗
4.アトランタ・ホークス 43勝39敗
5.インディアナ・ペーサーズ 41勝41敗
6.クリーブランド・キャバリアーズ 33勝49敗
7.シャーロット・ホーネッツ 26勝56敗
ウエスタン・カンフェレンス
◇ミッドウエスト・ディビジョン
1.サンアントニオ・スパーズ 55勝27敗
2.ユタ・ジャズ 54勝28敗
3.ヒューストン・ロケッツ 52勝30敗
4.オーランド・マジック 31勝51敗
5.ミネソタ・ティンバーウルブズ 29勝53敗
6.ダラス・マーベリックス 28勝54敗
7.デンバー・ナゲッツ 20勝62敗
◇パシフィック・ディビジョン
1.ポートランド・トレイルブレイザーズ 63勝19敗
2.ロサンゼルス・レイカーズ 58勝24敗
3.フェニックス・サンズ 55勝27敗
4.ゴールデンステート・ウォリアーズ 44勝38敗
5.シアトル・スーパーソニックス 41勝41敗
6.ロサンゼルス・クリッパーズ 31勝51敗
7.サクラメント・キングス 25勝57敗

マイケル・ジョーダン/撮影:あんどうたかお

クライド・ドレクスラー/撮影:あんどうたかお
