車イスバスケに挑戦

2008年3月6日

やってみたらわかります!車イスバスケの楽しさと奥深さ。



皆さんこんにちは、3月に入りました。まだまだ寒い日が続きますが、風邪など引いていませんか?
私は2月半ばからひいた風邪が長引き、最近やっと体調が戻ってきたところです。本当に苦しかった。健康が1番!!みなさんも体調には気をつけて下さいね。

さて、先日プロ車イスバスケットボール選手の岩野博選手にお話を聞く機会がありました。岩野さんは現在、世界でも上位に位置するオーストラリアの車イスバスケットボールリーグの第一線で活躍をしている現役バリバリの選手です。オーストラリアに渡ったのは36歳のとき。それから6シーズン、レギュラーの座を譲ることなく、エースの座を守っています。
日本の車イスバスケの強豪、千葉ホークスに所属していた岩野さんは、日本代表としても活躍。パラリンピックにも3大会連続で出場しています。ホント凄いことです!

私が岩野さんとの出会ったのは、昨年の山口県で開かれたスポーツのイベントです。車イスバスケットボールを体験することになった私を親切に指導してくれました。
このときは、あまり話を聞けませんでしたが、安定した公務員の仕事を捨て、奥様を日本に残し、単身でオーストラリアに渡って挑戦し続けていることを聞き、もっと、もっと岩野さんを知りたくなりました。そしてそんな岩野さんだからこそ、車イスバスケの魅力、面白さについてのお話を伺ってみたい!と思ったんです。

まず、車イスバスケットとバスケットボールのルールの違いについてお話しておきますね。
まず、ダブルドリブルがないところ。バスケットでドリブルの後に1度ボールを持って、その後にまたドリブルをするとダブルドリブルですよね。車イスはボールを足の上に置き2回車輪をこいだらパス、ドリブル、シュートをしなければいけない。2回こいだ後にドリブルし再び2回こぎ、またすぐドリブルをするという繰り返しはOKですが、3回以上こぐとトラベリングになります。
他には、選手の障害の度合いや車イスに座ったときの上半身のバランスに応じた「点数」が決められていて、コートに出ている5人の合計点が14点を超えてはいけないということくらい。それ以外のルールはバスケットと同じで、コートの広さ、ボールの大きさ、リングの高さ、競技時間も全て一緒です。

岩野さん「一般のバスケットは、プレーヤーが大型化していますよね。2m選手なんかもたくさんいて、ゴールがだんだん近くなっていっている。車イスバスケットは絶対にリングには手が届かない。
障害が重い選手から軽い選手まで、全員平等にプレーする。背が低くてもスピードがあれば高さに負けないプレーが出来たり、身長が高くとも障害が重いと高さのある車イスに乗るのは困難で、バランスが取れなかったりコントロールできなかったりするので、車イスバスケのポジションにはサイズがあまり関係ないんです。だけど、私はそこに車イスバスケの面白さを感じるんですよね」

バスケットでは、高さやスピード、パワーのミスマッチ、が出来ますが、車イスバスケットでは、スピード、高さそして障害の程度によってミスマッチが生まれてしまうんですね。

岩野さん「それから、ボールのコントロールも走ることも全て手でやらなくてはいけないこと。ときどき足を動かしたくなるんですよね。届かないところに足を動かしていきたくなって、手で車イスをこぐことを忘れてしまうんですよ。体だけがゆすれていて(笑)」

このようなことは、私も今回の車イスの体験でよーく よーく実感できました。
千葉県総合スポーツセンターで行われた7回目となる岩野さん指導の車イス体験教室、口コミで集まった22人の健常者の方達に混ざって私も3on3の体験をさせていただいたのですが・・・。

ボールが届きそうになると言葉と手ではすぐ反応できても、ほんの何センチかが届かない。車イスを漕いで進まなくてはいけないのですが、気持ちだけが前にだけいってこぐ事を忘れてしまいボールには全く近づいていない・・・。、そしてボールを手にしてもドリブルがつけない、車イスもこげてないと頭の中がパニック!!もーーーーーぉ!イライラしてきます(笑)。
今、何が一番大切なのか、車イスをこぐのか、ドリブルをするのか、シュートなのか、何回こいだらドリブルをしなくてはいけないのかなど、まず何からすればいいのかの優先順位がさっぱり分からなくなって頭がパニック。情けない状態になってしまいました。

3on3の後は、岩野さんとの1on1(世界の岩野さんに挑戦!!おこがましいですよね)。そう思いながらもシュートを決めてやるぞー!と意気込んで挑戦。しかしやはり甘かった・・・。岩野さんのディフェンスは最小限の動きなのにしっかりポジションをキープしていて、私が行こうとするコースをピシャリと止めていくんです。全くリングには近ずけず車イスをクルクルターンさせながらアタフタするばかり。逆に私がディフェンスになるといつのまにかジワジワ、気がつけばリングの下まで攻められていてガックリ。

2本目からはすでに腕がパンパンになってしまい、車イスも思うように漕ぐことはできませんでした。この腕でシュートを打つなんてムリ!!リングに向かって投げるだけで精一杯。
5本ぐらいやったのでしょうか?結局1回もシュートを決めることはできませんでした。

実際にシュートをしてみて感じたことなんですが、ふつうのバスケでは外からのシュートやフリースローの時、しっかり止まって足を使いボールを投げると全ての力がリングに伝わっていく感覚があります。でも車イスはグラグラしてピタッと止まっていてくれず、シュートしたときに力が色んなところに分散されて逃げていってしまう感覚で、自分が思っている以上にボールが飛ばないんです。ましてや腕が疲れてしまったら・・・
車イスバスケの試合では腕をフル活用、後半に入ると疲れとの闘いも出てくるなかで車イスを全力で漕ぎ、シュートを決めなければいけない過酷さもある。ホントに凄い競技だと思いました。

岩野さん「腕の筋力はもちろん持久力が必要です。だけど腕の筋肉量は小さいので、すぐにエネルギーが切れてしまいます。そこで、腕の筋肉を早く回復をするためのトレーニングが重要になるんです。
車イスはずーっと漕ぎ続けなくても何回かこぐことで前に進みます。その進む時間を利用して回復をさせます。そこには慣れとコツがあるんですけどね」

腕が足となり、車イスをコントロール。さらにボールを自由自在に扱い、シュート、パス、ドリブル。一瞬の判断でプレーをしていく。岩野さんは、慣れがあるとおっしゃいましたが、もの凄い訓練とたくさんの経験を積んでいるからこそ言える言葉ですよね。

岩野さん「一般、健常者の方は、まず車イスに乗る機会がありませんよね。
車イスバスケでは、車イスはあくまでスポーツの道具なんです。まずは、ゴーカートに乗るような気持ちで楽しんでほしいです。

日本にはまだまだ、車イス=障害者のイメージがあると思います。
しかし、若者を中心に健常者の方から車イスバスケットをやらせて欲しいと言う人も増えてきて、少しずつ垣根が取り払われてきていると思います。健常者の方が、車イスバスケットボールをひとつのスポーツのカテゴリーとして捉えだしてくれていることは嬉しいですね」

とても大変な競技にも感じましたが、車イスを扱う楽しさ、車イスと格闘しながらもディフェンスをかわしてシュートを決めた時の爽快感、仲間と出会い一緒にプレーする楽しさもあったりと、いろいろな面白さのつまった競技だと感じました。

みなさんも機会があれば、是非、車イスバスケットボールに挑戦してみてください。きっと、普段のバスケとは違った風を感じられると思います。

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INFOMATION

NHKハート展』に作品を出展しました。

「ハート展」は、障害のある人が日常生活の中で感じたことを一編の詩につづり、アーティストや著名人の皆さんがその詩から「ハート」をモチーフにさまざまなアートで表現した展覧会。緒形拳(俳優)、北川悠仁(ゆず/ミュージシャン)、須藤元気(元格闘家)さんに交じって、私も参加させていただいています。


haradayuka at 18:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)
プロフィール
原田裕花
1968年生まれ。山口県出身。元バスケットボール日本代表。ジャパンエナジー(現JOMO)、代表でキャプテンを務めるなど、80年代後半から90年代後半にかけて女子バスケ界を牽引した。アトランタオリンピックで7位入賞。また二度の膝靭帯断裂から見事復活し、カムバック賞を受賞。現在はスポーツキャスターとして活躍中。
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