2007年10月19日

この秋JBL2に参戦する栃木ブレックスのお話

こんにちは。東京はようやく秋らしい気候になってきましたね。
今回はbjリーグを離れて、JBL2・栃木ブレックスのプレシーズンマッチの話題をお届けします。

栃木ブレックスは今シーズンからJBL2に参戦するプロチームです。
私は以前、あるお仕事でブレックスを取材する機会があったのですが、このチームは非常に魅力的です。経営やプロモーションのユニークさもJBLの中では群を抜いていますし、選手も「全勝優勝」という高いハードルのもと、練習やウェイトトレーニングに取り組んでいます。
高岡大輔キャプテンは不規則なサラリーマン時代から体重が15キロ減(しかも2カ月で!)し、現在は毎日体重計に乗って、体のコンディションを確認しないと気がすまないほどになっているそうです。

ブレックスには、前身の大塚商会アルファーズに所属していた選手が3名います。
高岡、山田謙治、荒井尚光。
仕事も頑張ってバスケットも頑張って…。建前としては美しいものですが、高い次元を追求していくに当たって「俺たちは仕事してるんだから負けてもしょうがない」という慢心が邪魔になり、両立という言葉とは程遠い状況だったと高岡キャプテンは語ります。遅くまで続く仕事の中で、メンバーが練習に集まることすら難しく、練習後に帰宅すると深夜。そしてまた朝早く出社していくという生活サイクルの中、選手たちは大きなジレンマを抱えていました。
しかし、今シーズンより「プロ選手」となった彼らは、負けても仕事という言い訳のない環境に身をおくこととなりました。時として、サラリーマン時代よりも厳しい現実が待っているかもしれない。結果が出なければ一転無職となるし、スランプになっても逃げ場はない。ケガだってできない。しかし、彼らはそれでもバスケットが好きで、続けたいと思ったから、自らこのチームに留まりました。そしてこの日、トライアウトを経てやってきた仲間たちとともに、新たなフェイズへと進んだのです。

「言い訳」を脱ぎ去った男たちの初めてのお披露目となるプレシーズンマッチ。来期JBL2に参入する鹿児島レッドシャークス(ここには昨シーズン東京アパッチに所属していたジェローン・ドットがいます)を迎えた試合は、素晴らしい内容となりました。

スターティングファイブは
安斎竜三(前所属:埼玉ブロンコス)
山田謙治(大塚商会)
高岡大輔(大塚商会)
田中健(福岡レッドファルコンズ)
ディーン・ブラウン(ABAサクラメントヒートウェーブ)

山田のパスを受けたディーンの豪快なボースハンドダンクから始まった試合は、終始ブレックスのリズムで進みました。ガード陣が当たりの激しいディフェンスで相手のミスを誘うと、すかさずディーン・田中健が走り、ファーストブレイクでフィニッシュ。高岡は、高いループを描く美しいスリーポイントを何本も決めました。ブレックスはロースターが10名と少ないですが、その代わり「誰もが試合に出て結果を残せる力がある」(高岡)選手たち。その言葉通り、それぞれが自分の持ち味を生かしたプレーで観客を沸かせ、力を見せました(亀崎光博選手のみ、ちょっと残念な内容となってしまいましたが…開幕戦には期待しましょう)。

最終スコア103-62。どのピリオドもブレックスがリードし、力の差は明らかでしたが、それでも飽きることのない、ピンと張り詰めたゲームを見たのは久しぶりでした。会場には多くの子供が足を運んでいましたが、ぐずったり遊んだり、寝たりせずに、最後までしっかりと選手を見つめていました。子供というのはとても正直な生き物ですから、彼らのアティチュードは、試合がとても楽しかったことを証明する最強の証拠です。

高岡キャプテンは以前、「点差が離れてもダレない試合で、強さとプロ意識をアピールしたい」と話していましたが、まずはその心意気と強さを栃木県民の目に焼き付けられました。
金田詳徳ヘッドコーチは試合後の記者会見で「まだまだ改善点はある」と話したものの、とても良い表情で選手の頑張りを讃えていました。

栃木ブレックスは今シーズンはJBL2で戦いますが、来シーズンからは、一つ上のカテゴリー・JBLに参入することが決定しています。おそらくJBL2ではぶっちぎりの強さを見せるでしょうが、JBLで戦うとなると、正直現在の実力では厳しいです。わずか1シーズンで得ることの出来る最大限の経験を、貪欲に求め、次の境地にチャレンジしてほしいです。

とは言ってもまずは今シーズンから。栃木ブレックスの今シーズンの目標はリーグの全勝優勝と、オールジャパンでベスト8以上に進出すること。どちらも達成することは大変ですが、選手たちは逃げ場のない「プロ選手」という立場を最大限に利用して、いい表情でバスケットをしていくことでしょう。


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プロフィール
青木美帆/Miho AWOKIE
1984年生まれ。早稲田大学卒業。早大体育会の報道紙「早稲田スポーツ新聞」でバスケットボール部を担当したことをきっかけに、在学中からバスケットボールに関する取材活動を開始。現在はフリーのバスケットボールライターとして中学バスケットボール(白夜書房)、FreeBas.(フリーペーパー)などで執筆中。周りからはさんざん「無謀だ」と言われていますが、体当たりで頑張っています。
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